刀川和也監督
この映画は、刀川和也監督が埼玉県にある「光の子どもの家」という児童養護施設を8年間、継続して撮り続けたドキュメンタリー映画です。「モザイクもしない、詳しい説明もテロップも入れない」やり方で、最初から最後まで、施設の子どもたちにとってのごく普通の日常の様子が写されていきます。主人公的な存在としてふたりの女の子の様子が追いかけられていて、職員の日々繰り返される食事づくりやかかわり場面、短いインタビューもありました。そのなかで、まりこさんという職員が子どもにとっての「軸になる人」が必要ということを話されていましたが、これが「隣る人」のことだと感じられました。
SGUホールでの開催でした。
映画を観終わってもなお、じんわりと映像がまぶたに残るような印象の映画でしたが、上映後の監督講演では、なぜ撮影しはじめたかという経緯や、600時間を超えるビデオをどのように85分の映画に編集していったのか、その間の苦労や、葛藤なども率直にお話しいただきました。「くらしの細部にこそ人が生きる本質がある」「取材のなかで自分自身が変わっていって、寄り添う視点がうまれていった」「これは人間の成長物語ではなく人が人になっていくということ」「児童養護の問題ではなく人間関係の問題である」というお話のなかから、最後に「家族ではなく、血縁でもない人が日々のくらしのわずらわしさやめんどくささの中で培っていくつながりの大切さ」を語ってくださいました。
監督講演のあと、参加者の学生や卒業生、一般の方から次々と質問があり、充実したやりとりとなりました。
(横山)
刀川監督と本学教員二通先生(懇親会にて)
卒業生らを含む懇親会もありました。